内分泌疾患について

ホルモンとは、ある臓器でつくられ、血液中を流れて体のいろいろなところに作用を及ぼす物質の総称です。ホルモンを出す臓器には、古くより甲状腺、副甲状腺、副腎、下垂体、性腺などが知られていますが、最近では心臓や血管、脂肪組織まで全身の臓器でホルモンが作られることが知られています。ホルモンが分泌されることを「内分泌」といいますが、その量が多すぎたり、不足したりすると身体に特徴的な症状があらわれます。このようにしておこる病気が「内分泌疾患」です。以下、臓器別に内分泌疾患について説明します、内分泌疾患を一覧してください。
内分泌の甲状腺疾患について、甲状腺は喉仏のすぐ下にある臓器で、身体を活性化するホルモン甲状腺ホルモンを出します。バセドウ病は甲状腺ホルモンが出過ぎる病気で、体の活動が異常に亢進して手が震えたり、動悸がしたり、異様に汗をかいたり、いらいらしたりします。逆に橋本病は甲状腺ホルモンが少なくなる病気で、体がむくむようになって元気がなくなり、寒さに弱くなります。肥満も起こります。また、これらの病気とは別に、甲状腺にできる腫瘍があります。甲状腺腫瘍は悪性「甲状腺癌」でも進行が遅いものが多いのが特徴です。
当科では高い技術の甲状腺エコー検査やエコーガイドによる簡便な組織検査などによって、甲状腺疾患の診断をおこなっています。また、バセドウ病、橋本病などに対して薬による内科治療を中心に、耳鼻科と協力して腫瘍に対する診療にもあたっています。
副甲状腺は甲状腺の近くにある小さな臓器で、カルシウムを調節するホルモン「副甲状腺ホルモン」を出します。副甲状腺の良性腫瘍などによりこのホルモンが出過ぎると「副甲状腺機能亢進症」、骨が溶け出してもろくなったり、腎臓に結石ができたりします。当科では熟練した技術のエコーや、CT、シンチグラフィーなどの検査により副甲状腺の状態を詳しく調べ、副甲状腺機能亢進症や機能低下症の治療にあたっています。
副腎は腎臓の上にある臓器で、いろいろなステロイドホルモンを出しています。副腎の良性腫瘍や過形成で、それぞれのホルモンが出過ぎて特徴的な病気になることがあります。まず、クッシング症候群では、糖質コルチコイドいわゆる副腎ホルモン」の出過ぎで体型の変化、抵抗力の低下、高血圧、糖尿病など様々な症状があらわれます。また、原発性アルドステロン症はアルドステロンというナトリウムを体内に貯めるホルモンが過剰になった状態で、高血圧や電解質異常がおこります。さらに褐色細胞腫では、カテコラミンというホルモンの過剰により高血圧や動悸、発汗、頭痛などの多彩な症状がおこります。当科ではCT、MRIやシンチグラフィーなどの画像検査、また必要な場合にはカテーテルを用いた副腎近傍血液中のホルモン濃度測定を放射線科と協力しておこなって、副腎の形状やホルモンの分泌状態を精査して診断します。一方、副腎皮質機能低下症は副腎からでるホルモンが不足する状態であり、特に糖質コルチコイドはからだに必須ですので必ず補充しなくてはなりません。
下垂体は脳の下部の小さな臓器ですが、体の成長をうながす成長ホルモン、乳汁の分泌をうながすプロラクチン、副腎皮質、甲状腺、性腺を刺激するホルモンであるACTH, TSH, FSH, LHを分泌します。その量が多すぎると巨人症や先端巨大症、乳汁漏出症、あるいは先程述べたクッシング症候群などがおこります。これらは脳下垂体の腫瘍によっておこることが多いのですが、当科では各種内分泌検査によってホルモンの過剰状態を正確に評価し、脳外科と協力して下垂体腫瘍を取り除く手術をおこなったり、ホルモン過剰を抑えるための薬物治療をおこないます。逆にこれらのホルモンが不足する下垂体機能低下症では足りなくなったホルモンを補充します。